センチメンタル東向き

本日は日本平でのホーム最終戦、ジェフとの試合がありました。
ジェフは目下、自動降格圏の17位。
今日ウチが勝って=ジェフが負けて、磐田とヴェルディが引き分け以上なら、
その時点で降格が決まると言う状況でありました。

僕は、今更言うまでも無く清水エスパルスのサポーターです。
よって、これも当然ですが清水が勝ったら普通は喜びます。
「普通は喜ぶ」と言う事はどんな場合が普通じゃないか、と言うと、
例えば天皇杯JFL相手にPKで勝った時とか、そういう特殊な場合です。
ですから、今日も勝って欲しいと言う気持ちは少なからずありました。

がしかし、ジェフも結構好きなチームなのであります。
清水を除いたJリーグのチームの中では、甲府の次ぐらいに好き。
勿論、応援はしていませんが、ただ落ちて欲しくはないのです。
そんな淡い淡い好意を抱いている千葉に今日勝ってしまうという事は、
他の試合の結果如何によってはその首を斬る事を意味し、
そうでなくともその首を押さえるぐらいの事は意味する訳です。
そんな訳で、いつものように清水の勝ちを望む気持ちが9割を占めている中にも、
残り1割ぐらい今日は負けたい、と言う、
今までに経験した事の無い複雑な気持ちを抱きつつ、試合を見ていました。

試合は立ち上がり直後こそ攻めましたが、
気迫では圧倒的に勝っている相手の運動量によって
徐々に自陣内でボールをキープする時間が長くなりました。
ジェフの気迫と言う点ではボールへのチェイスの素早さばどから感じ取りましたが、
同時に残留を争っているチームらしく、パスなどの精度の低さも感じられました。
そんな中で前半26分、ペナルティエリア右からの浮球を
兵働がダイレクトで美しく決めて先制します。
前述のような気持ちで見ていましたが、しかしこのゴールが決まった瞬間は嬉しかったです。
が、直後にジェフは巻がヘッドで決めて同点に。
先のゴールに喜んでいたくらいなので、この同点弾は残念でありました。

しかししかし、更にその6分後です。
兵働の右からコーナーがファーに流れ、角度のない所で児玉新がヘディングシュート。
これをクリアしようとした相手DFが上手くクリアしきれずオウンゴールとなり、再びリード。
このオウンゴールは、クリアしようとして失敗した相手DFは
戻りながらクリアと言うなかなか難しいことを試みたので、その選手は責められません。
むしろボールに触れただけでも抵抗の証と言えるもので、
相手DFがボールに触れていなければ、詰めていたこっちのFWが押し込んでいたはずであり、
オウンゴールと言うのは名前だけで、殆ど児玉のゴールであったのですが、
とは言え記録としてはオウンゴールと言う文字が残るのでして、
そういう形で折角の同点ゴールを無にしてしまうジェフを思うと少し哀れに思えるゴールでした。

そんな形で、前半は試合内容からすると妥当な2-1のリードで折り返しました。
そして後半。
後半もやはり基本的には清水ペース、しかし試合はなかなか動かない。
漸く動いたのは後半31分。
最近代表にも選ばれている岡崎が左サイドをドリブルでスルスルと進んで、
そのままペナルティエリア内でシュート。
これが決まって3-1。
時間的にも清水の勝ちをグッと手繰り寄せる嬉しい1点。
そして2点差で勝てばオウンゴールで勝った訳でも無くなる、と言うのもあって
ジェフの残留云々でのしみじみした気持ちは薄れました。

しかし、まだこの試合は動きます。
ジェフは後半40分、右サイドからのFKを
また巻が頭で押し込んで3-2とし、再び1点差になりました。
ゴールを決めた巻選手は喜ぶこともせず、同点ゴールのために、
すぐにゴールからボールを拾って、自陣へ向かって走っていく。
この姿を見て、とても変な気持ちになりました。
「巻、もう1点だ、もう1点取って引き分けろ!」
こんなことを思ってしまったのであります。

ただし、これが本望だったのかと言うとそれも真理ではなく、
ロスタイムは1点差と言うことで、時間稼ぎでキープしようとする
オレンジ戦士達に「キープすんな!攻めろ!」と野次る、
試合中、ずっと的外れな野次ばかり飛ばしていた後ろの席にババアに反発するように
「キープ!キープ!それでいい!」と叫んだし、
試合終了のホイッスルが吹かれた瞬間は嬉しかったです。

勿論、自分の愛するチームが勝ったのは嬉しい。
その喜びの大きさは、普段ジェフ相手に勝つ時と変わらない。
ただ今日は、その喜びの他に、妙な刹那さ、或いは同情の念を抱き、
勝ったけれども複雑な気分でありました。

思えばあれは確か03年のこと。
1stステージ残り2試合と言う中で、ジェフは優勝を懸けて日本平に来て、
僕らは彼らの夢を挫きました。
今回も残り2試合と言う中で日本平に来たジェフに対して僕らは
残留争いを難しくする結果を与えました。
しかし、幸いにしてジェフと残留を争う他の2チームも今日は負け。
ライバルの結果に拠る部分もあるとは言え
来週勝てばまだまだ彼らにもチャンスはあります。

ジェフはウチと似たところがあるチームだと思うし、
学ぶべき知恵を持っているチームだとも思うから、どうにかして残留して欲しい。
そしてまた日本平に来て欲しいと思っています。