夏草や・・・

この前、娘。@松戸・初日から帰って来る電車の中で、
隣に座ったおばさんとおばあさんの間ぐらいの初老の女性が、
俳句趣味の会みたいなのが出していると思われる俳句集を読んでおりました。
僕は何気なくそれを盗み読みしたのでありますが、
その中に書いてあった俳句、と言うか僕にとっては川柳の1つで、
ちょっと季節外れなんですが、少し面白いものがありました。

夏草や 売りに出されし 養鰻池

・・・これは多分、松尾芭蕉の「おくのほそ道」の中のかの有名な一句、


夏草や 兵どもが 夢の跡


を基に、どちらも散っていく命の儚さのようなものを表した
いわゆる「本歌取り」の一句だと思われますが、
芭蕉の句では、命がけで戦に挑む武士の勇ましい姿と、
かつては栄華を極め、にぎにぎしく合戦の行われた地も
今は草が生い茂っているだけと言う儚さに思いを馳せられるのに対し、
「売りに出されし」では、商業=お金のニオイばかりがしちゃって、
どうにもその風情みたいなものが一切感じられません(笑)

この句を詠んだ人がどのような思いで詠んだのかは分かりませんが、
僕としては風刺が効いていて、心の琴線に触れる一句でありました。